金正恩「斬首」作戦、米韓は本当にやるのか? – 朝日新聞




最大の課題は「インテリジェンス」

春名幹男


米韓空軍の合同訓練「マックスサンダー」に参加する韓国軍の戦闘機(手前)と、離陸する米軍戦闘機=20日、韓国西部・群山拡大米韓空軍の合同訓練「マックスサンダー」に参加する韓国軍の戦闘機(手前)と、離陸する米軍戦闘機=2017年4月20日、韓国西部・群山

 18世紀欧州の戦争では、敵の将軍を殺害しない、という不文律があったそうだ。敵の最高司令官を殺せば、撤退ないしは降伏を命令する者がいなくなり、秩序が保てなくなる。その結果、混乱の中、敵味方入り乱れた殺戮が続くからだという。

 では、4月末まで行われた米韓合同軍事演習で訓練したと伝えられる「斬首作戦」はどう考えればよいのだろうか。

 文字通り、北朝鮮の金正恩労働党委員長の首を取ることになれば、大混乱は必至だ。党および軍の組織が統制のとれないまま、核兵器の貯蔵庫が掴めないと、国際テロ組織の手に渡ってしまうかもしれない。

 朝鮮半島の未来にもかかわるこの作戦、一体いつ、なぜ決定されたのか。また、現実に実行が可能だろうか。

新部隊「スパルタン3000」年内発足

 斬首作戦の内容はもちろん極秘。ただ米韓などの報道を見ると、作戦は2015年6月に米韓両国が締結した「作戦計画(OPLAN)5015」の中に明記されているのは明らかだ。

 米韓両国がこれまでに合意した作戦計画には、OPLAN5026(核施設への「外科手術的」攻撃)、OPLAN5027(大規模戦域戦争)、OPLAN5029(北朝鮮崩壊に伴う内戦・大量破壊兵器流出・難民対策)、OPLAN5030(北朝鮮に対する挑発・消耗作戦)などがある。OPLAN5015は、OPLAN5027とOPLAN5029を統合した内容とみられている。

 従って、OPLAN5015では、北朝鮮の核・ミサイル施設および指揮・管制システム関係の施設を破壊することを第一に掲げ、北朝鮮指導部の機能をマヒさせるために「斬首」を目標としているようだ。

 現実には、弾道ミサイルや大量破壊兵器、サイバー攻撃による非対称の侵略に備えた作戦、さらに核・ミサイル基地、指揮・管制中枢部の探索のため、特殊部隊を潜入させることになる。

 作戦を実行する部隊は「スパルタン3000」と呼ばれている。その名称からして分かるように、鍛え上げた精鋭3000人から成る。これまでは、有事に朝鮮半島全域に配備する部隊は大隊規模では24時間、連隊規模だと48時間かかるとされてきたが、この部隊は連隊規模でも24時間以内に目的地に到着するという。

 ワシントン・ポスト紙は2016年3月、探索(detect)、かく乱(disrupt)、破壊(destroy)、防御(defend)の4Dを合い言葉に先制軍事工作を行うことを定めた、と報じていた。

 スパルタン3000は韓国海兵隊の新部隊として結成され、CNNによれば、当初は2019年発足予定だったが、2017年中の創設に早めた、と韓国国防省は説明している。

「暗殺」は大統領令違反

 しかし、OPLAN5015の目玉とみられる斬首作戦には問題が多々ある。

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