(朝鮮日報日本語版) 【社説】平昌オリンピックはどこに向かっているのか (朝鮮日報日本語版)



 国際ボブスレー競技連盟が平昌オリンピックで4人乗りボブスレーの南北合同チームを認め、本番前にテスト走行のための合同訓練を行える方向で検討を行っているとの昨日ニュースが報じられた。ところがこれについて韓国の複数のボブスレー関係者は「初耳」と口をそろえており、現時点で韓国政府がこれを提案したとの情報もない。平昌オリンピックが南北合同チームの話題で盛り上がっていることから、国際オリンピック委員会(IOC)はもちろん各競技団体までがこれに便乗しようとしているようだ。しかも北朝鮮にボブスレー選手は1人もいない。この種目で初のメダル獲得を夢見ながら、誰にも注目されない中で必死に練習を続けてきた韓国選手たちには青天の霹靂(へきれき)だ。時速140キロで疾走するボブスレーに1回も練習をしたことのない選手が加わり、事故でも発生すれば彼らの夢はその瞬間に終わってしまう。

 南北協議を通じて「金剛山でオリンピックの前夜祭を行うことなどで双方が合意した」と報じられると、オリンピックの会場となる江原道平昌郡の住民たちは「我々が20年にわたり汗水流してオリンピックを誘致をしたのに、金剛山でイベントを行うとはどういうことか」と驚きの表情を隠せないでいる。また江陵市のある市民は「オリンピックの開催地は平壌ではなく平昌だ」と改めて訴えている。あるスポーツ関係者は「選手たちがこれほどまで政治に敏感になるのは初めて見た」とした上で「オリンピックの本質であるスポーツと選手はいつの間にかどこかに消え、南北という言葉ばかりであふれている」と嘆いた。女子アイスホッケーの合同チーム問題も混乱が続いている。ネットでは「慰安婦合意を被害者と何の相談もなく決めたなどと批判した政府が、アイスホッケーでは被害者たちと何か話をしたのか」といった声が今も相次いでいる。

 北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長は国際社会による制裁の効果が出始める段階になると、平昌オリンピックに参加することでまずは韓国を制裁する側から取り崩そうとしている。開城工業団地や金剛山観光で使われたルートの使用、さらに金剛山でのイベントなど全てがその足がかりだ。南北が共同で合宿を行うことになった馬息嶺スキー場は国連制裁に反するぜいたく品や装備などであふれており、国連安保理の対北朝鮮制裁委員会もこのスキー場を何度も問題視してきた。ところが韓国政府はこれを全く意に介そうとさえせず、しかも金剛山での南北合同のイベントには韓国から文化人、宗教関係者、市民団体などを数多く参加させようとしている。韓国文化体育観光部(省に相当、以下同じ)はここからさらに一歩踏み込み、19日の業務報告で今年のアジア大会など国際的なスポーツ大会でも南北が共同で入場行進を行うことや、共同応援などを推進する計画を明らかにした。

 韓国統一部はこの日行われた業務報告で「平昌オリンピック後、北朝鮮の態度がどうなるか現時点では不透明」との見方を示した。「北朝鮮が核とミサイルを放棄する意志を全く示していないことを考えると、今後の状況は必ずしも楽観できない」とも伝えている。北朝鮮が平昌オリンピックに参加する理由は、自分たちが行っている核開発を今後も続けるためだ。韓国国民が20年以上にわたり努力を続け誘致した平昌オリンピックが北朝鮮の戦略に利用されるという、まさにあってはならない事態が今や現実となりつつあるのだ。

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