一見平穏、行き交う物資 国境の街 中国・丹東 – 東京新聞



丹東で、布製品とみられる荷を大量に積んで、税関に向かう北朝鮮ナンバーのトラック

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 米朝両国間の緊迫度が増す中、中朝国境の街、遼寧省丹東市を訪ねると、市民は普段と変わらない生活を営んでいた。しかし市が関係部門に「突発事件」に備えて朝鮮語要員を緊急招集するなど、事態急変に備えた動きが進んでいることをうかがわせた。 (丹東・浅井正智、写真も)

 鴨緑江に架かる中朝の主要輸送ルートである「中朝友誼(ゆうぎ)橋」。布製品と思われる荷物を満載した北朝鮮ナンバーの大型トラックが走って行く。経済制裁の対象ではない日用品や建築資材などを運んでいるとみられる。

 一日数百台が通過するというが、地元ガイドによると通行量はいつもより多め。二十九日から五月一日の労働節まで三連休で税関も閉まる。「連休前に仕事を終わらせようと急いで運んでいるのだろう」と話す。

 市はこのほど、関係部門に対し「外国に関わる突発事件に即時に対処する」ため、朝鮮語要員をリストアップし、緊急チームをつくるよう要請した。朝鮮有事を想定したものではなく、「将来のために人材を確保しておくため」(市当局者)と、打ち消しに躍起だが、危機管理に動いていたことは疑いない。

 一見する限り、国境の街は平穏そのものだ。朝鮮戦争時、米軍によって北朝鮮側が破壊された「鴨緑江断橋」は、観光客でにぎわっていた。橋の上から見える北朝鮮の新義州(シンウィジュ)は手が届きそうな近さで、工事用の機材や観覧車が見える。

 丹東市内の旅行会社は普段と変わらず、北朝鮮行きの日帰りツアーを組んでいる。旅行会社の女性社員は「連休中は客の行列ができるはず。政治情勢の影響は全くない」と言い切る。

 だが、市内を回って北朝鮮側を眺めてみると、中朝関係の冷え込みも手に取るように分かる。北朝鮮が二〇一一年に経済特区に指定、中国と共同開発するはずだった「黄金坪(ファングムピョン)・威化島(ウィファド)経済地帯」は、両国の橋渡し役だった北朝鮮の張成沢(チャンソンテク)国防副委員長の処刑を境に事実上中止された。いずれも小さな村があるだけで、開発が進んでいる様子はない。国境に掲げられた横断幕の「睦隣友好 共創繁栄(善隣友好でともに繁栄を築こう)」というスローガンがむなしく響く。

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