中国は北朝鮮の暴発を阻止できるのか!? – Viewpoint



北朝鮮と江沢民派の深い関係

 「北朝鮮は、旧ソ連と中国の影響力を排除してやってきた国だ」
 4月6、7日の米中首脳会談が終わった後、中国は責任逃れのためのこんな「情報戦」も強めている。ドナルド・トランプ米大統領に厳命され、金正恩朝鮮労働党委員長の「核・ミサイル」による威嚇を阻止しようとのポーズは見せているものの、結論から言えば習主席には北朝鮮の軍事的暴発を阻止する力はない。

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張 徳江・全国人民代表大会常務委員会委員長

 なぜなら、金王朝(北朝鮮)との関係は、現在のチャイナセブン(中国共産党最高指導部・中央政治局常務委員7人)の序列3位で、「朝鮮エキスパート」である張徳江・全国人民代表大会(全人代=国会)常務委員長ら、江沢民派が掌握しているからだ。

 江沢民派は別名「上海閥」と呼ばれる。だが、中華人民共和国の建国から間もない頃の江沢民のキャリアは、北朝鮮に隣接する中国北東部・吉林省(省都・長春市)にある。1950年代、江沢民は長春第一汽車製造廠(自動車製造工場)に勤務し、モスクワのスターリン自動車工場で研修を受けた。昇格していく段階で、前出の張徳江をドンとする吉林帮(ジーリンバン)を形成する。吉林省の幹部を、次々と高級幹部候補に抜擢していったのだ。

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江沢民元国家主席

 張徳江は中国・延辺大学朝鮮語学部で学び、金日成総合大学経済学部にも留学しており、朝鮮語が巧みだ。そして、江沢民が国家主席就任翌年の1990年3月、初の外遊先は「兄弟国」の北朝鮮だった。金正日総書記と会談した際に、張徳江が通訳を務めた。金正日が2006年1月に中国・広東州大学街を視察した際も、当時、広東省委員会書記だった張徳江が同伴し江沢民も随行している。 

 中朝友好協力相互援助条約の締結50周年を記念して、2011年7月、中国から中朝友好協会や中国人民対外友好協会などが訪朝し、金正日と後継者の金正恩と面会した。この時も、親善代表団を引率したのは副首相だった張徳江である。金王朝との2代にわたる緊密な関係を築き、「金(正日)の中国の代理人」の異名まで持っていた張徳江は、現政権で序列3位にまで昇格した。

習近平主席の韓半島掌握術

 習政権はつまり、「(南北)朝鮮半島の植民地化」を目指して船出した。ただ、習主席は相性が悪い北朝鮮との関係を半ば放棄するかたちで、朴槿恵大統領(当時、現容疑者)率いる韓国の属国化に動いた。2015年9月、北京の天安門広場で行われた、「抗日戦勝70年」の記念式典と軍事パレードで、朴大統領は〝異例の厚遇″を受けた。

 しかし、朴大統領は昨年7月、米軍の最新鋭
迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の配備を決めた。すなわち、習主席が主導した朝鮮半島工作は失敗したのだ。

人民解放軍再編の思惑

 もう1つ注目すべきは、人民解放軍の再編である。中国は昨年2月、7大軍区から5大戦区に再編された。だが、習主席の「5大戦区すべてを北京で管轄したい」という思惑はかなわなかった。逆に、金正日が生前に何度も訪れている張徳江らのテリトリー、中国北東部を管轄する旧瀋陽軍区は「北部戦区」となって拡大増強している。
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 中国国内外の軍事専門家の間では、「瀋陽軍区が金体制を支援してきた」「中国の核開発拠点は成都軍区だが、瀋陽軍区が北朝鮮とともに核開発を進めていた」「食糧もエネルギーも瀋陽軍区や遼寧省の国境町、丹東市周辺の軍産企業から北朝鮮へ流れている」というのが一致した見解だ。

江沢民派閥排除がもたらしたこと

 習一派はここ数年、朝鮮半島につながる江沢民派の企業摘発と責任者逮捕、東北3省の幹部の首のすげ替えなどに邁進してきた。挙げ句、中国は今、想像を絶する事態に直面している。北朝鮮の弾道ミサイルは、米国や韓国や日本のみならず北京も射程に入れている。中南海への核・ミサイル攻撃や、金正男暗殺事件と同じ猛毒の神経ガスVXなどの生物化学兵器攻撃の危険性が高まっているのだ。

 中国一党独裁政権―。この表看板はメッキのごとく剥げ落ちた。北朝鮮の強硬姿勢の陰で、「習一派と江沢民派との権力闘争」は朝鮮半島の38度線にも匹敵する臨戦態勢といえる。習主席=核心と国内外でいくら喧伝しようが、実のところ〝張りぼて″なのだ。とすれば、習主席は米国へ密かに「命乞い」するしかない。



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